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すべての不幸のすべての幸い

 投稿者:八王子在住・長編詩人  投稿日:2005年 5月17日(火)22時38分32秒
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  自分を見るような人と酒を飲むのはわびしい。影と本体が幾重にも重なりか、そして「さようなら」。

自分を読むような本を読むのはつまらない。先がわかるのはミステリーであり、先がわかるからこそよけいになどと思ってしまうから。

自分が嫌だから、きみに噛み付いているのに、そんなに「自分を誉めないでよ」。きみがいろんなことをよく知っているということは、前からよく知っているのだから。

音楽とか数学とか、そういう分野は口を開けてはならない。ならないのに、きみはよく話すね。「啓蒙」なんて古臭いのに。

自分を可愛がらないから、少なくともそういうようには見えないから、きみが好きだ。

でも、自分が可愛いというように真正面から話してみたらどうだろうか、その話はとても難しいけど、それが成立すれば最高だと思う。

きみはひとを要しているのに、ひとはいらないなどというね。

単純に、ということほど難しいものはないが、単純に、ぼくはぼくを見捨てないでいる、という言明は、単純に、いいよ。

上顎の下の歯茎が膨れている。

下腹の下から大地を目指して出るものをしっかりと見た。

それは救われた、水に。

ぼくはぼくを自分だけでは救済できない、この言明はだれかを意識しているということで、
偽りになるのだろうか。

ぼくはひと、ひとはたぶんぼくだけではないはず。

こうして言葉がはじまると、そのマトリックスが「永遠の相のもとに」描かれる。

そのとききみは、きみたちは、担う
すべての不幸の、すべての幸いを!
 
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